来年2022年1月から電子帳簿保存法の改正が行われます。
この改正では3パターンに分かれて説明されており、ルールがそれぞれ異なります。
①電子帳簿等保存(会計ソフト等で電子的に作成した帳簿)
②スキャナ保存(紙で受領・作成した書類を画像データで保存)
③電子取引(電子的に授受した取引情報をデータで保存)
それでは、それぞれのルールを説明いたします。
まず、②のスキャナ保存から説明いたします。
- 以前は、領収書や注文書等をスキャナ保存する場合には、事前に税務署長への承認が必要でしたが、これからはこの承認が不要になります。
- タイムスタンプの期間が延長されます。タイムスタンプは電子上に、いつ領収書等を受領したかをスタンプするものです。このタイムスタンプは時刻認証局という所が定めた規格になっています。このタイムスタンプを以前は、受領後3営業日以内に押さなければいけなかったのですが、今後は2か月と7営業日以内というように緩和されます。
- 領収書を改変できないようなシステム、つまり訂正や削除をした場合にはシステム上で履歴・記録が残るようなシステムを使用していれば、タイムスタンプは不要になります。
- スキャナ保存をする場合は、今までは検索できるように細かく条件設定がされていましたが、年月日、金額、取引先の3つが検索出来ればよくなるようになります。
- 適正事務処理要件がなくなりました。これは、入力者とチェック者が分かれているような内部統制がなくてもOKということなので、大企業のように内部統制が整っていない中小企業や小規模事業者でも大丈夫なようになります。
よって、タイムスタンプを押して、検索できるようにすれば、紙の領収書は捨ててもよい(スキャナで保存すればよい)ということになります。
しかし、不正があった場合には、重加算税に10%の罰金が科されることになります。
重加算税が大体35%なので、税額の約45%が追徴課税されることになるので、気を付けなければいけませんね。
次に、③の電子取引を説明いたします。
- Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングのようなネットサービスを利用した場合、店頭のキャッシュレス決済(クレジットカードや電子マネーでの決済)を行った場合に、紙の領収書がついてくることもありますが、これらは電子取引なので、紙の領収書の保存は禁止されます。以前は、紙に出力して紙で保存していたことも多かったかと思いますが、これからは禁止になりますので、電子で受領した場合には電子で保存する、というようにしないといけません。
- ②のスキャナ保存で説明した1.~4.については、電子取引でも同じルールとなっております。
- ただし、売上が1,000万円以下であれば、「年月日、金額、取引先」の検索条件も不要になります。よって、タイムスタンプだけでOKということになります。ただし、税務職員がダウンロードして見せるように要求してきた場合には、ダウンロードして見せられるようにしておくことが条件です。
不正があった場合の重加算税の適用は②スキャナ保存の時と同様です。
最後に、①の電子帳簿等保存について説明いたします。
- ②のスキャナ保存で説明した1.の税務署長への事前承認は不要です。
- 優良帳簿と認められれば、過少申告加算税が5%減税されます。
以上が電子帳簿保存法の改正の内容です。
もうすぐ改正になりますので、まだ調整を行っていない企業等がありましたら、早めに詰めておく必要がありますね。