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税制非適格SOから税制適格SOへの移行について

税制非適格SOから税制適格SOへの移行について

2023年08月3日

税制非適格ストックオプション(以下、ストックオプションを「SO」と記載)は、役職員の権利行使(株式の取得)に係る経済的利益が給与課税の対象となる一方、税制適格SOは、その経済的利益が給与課税の対象外となり、譲渡時まで課税が繰り延べられます。

権利行使に係る経済的利益が給与課税の対象外となる税制適格SOに該当するには、以下の7つの税制適格要件を充足することが必要です( 措法29の2 ①)。

①SOは、発行会社の取締役等に無償で付与されたものであること。

②ストックオプションの行使は、その契約の基となった付与決議の日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年(発行会社が設立の日以後の期間が5年未満の株式会社で、金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社以外の会社であることその他の要件を満たす会社である場合には15年)を経過する日までの間に行わなければならないこと。

③ストックオプションの行使の際の権利行使価額の年間の合計額が1,200万円を超えないこと。

④ストックオプションの行使に係る1株当たりの権利行使価額は、当該ストックオプションの付与に係る契約を締結した株式会社の当該契約の締結時における1株当たりの価額相当額以上であること。

⑤取締役等において、ストックオプションの譲渡が禁止されていること。

⑥ストックオプションの行使に係る株式の交付が、 会社法第238条第1項に定める事項に反しないで行われるものであること。

⑦発行会社と金融商品取引業者等との間であらかじめ締結された取決めに従い、金融商品取引業者等において、当該ストックオプションの行使により取得した株式の保管の委託がされること。

上記の税制適格要件は、付与決議に基づき会社と役職員との間で締結された「当初の付与契約」で定められていることが必要であると考えられます。

そのため、役職員に、付与契約に基づき税制非適格SOを付与していたものの、権利行使前に、その付与契約の内容について税制適格要件を充足する格好で見直した場合であっても、当初の付与契約で税制適格要件を充足していない以上は、税制適格SOに移行することはできず、権利行使に係る経済的利益を給与課税の対象外とすることはできないことになる。

なお、国税庁が7月7日に更新した「ストックオプションに対する課税(Q&A)」では、役職員への付与前の「信託型SO」について、「信託型SOに係る信託契約において、原則として、信託の受託者が自身の判断で、そのSOの行使又は第三者への譲渡をすることができないとされていること」などの要件を満たす場合は、税制適格SOとして認められるとしています(Q&A問12)。